【GBA】ポケモンフェスタ2003ルール概論

このたび電子版が無料となりました『ポケモンエメラルドシングルバトル考察本』に掲載のコラム、「ポケモンフェスタ2003ルール概論」と同様の内容+参考リンクです。

※2023/12/3 追記
【ポケモンフェスタ2003】汎用配分集+記事リンク集」を書きました。


ルール


 ポケモンフェスタ2003ルールとは、2003年7月19日から2003年8月24日まで開催された、かの「ポケモンフェスタ2003」にて執り行われたルールである。ルールの詳細は以下の通りとなる。

★基本的に『ルビー』『サファイア』のみの環境
ホウエン図鑑のNo.1~No.201が使用可能 ※デオキシス以外のホウエン図鑑全種族
見せ合いなしシングル3vs3
★同じポケモンは1体まで
持ち物の使用不可
★複数催眠あり
★レベル50部門とレベル100部門がある

 ※レックウザを使用することができるレベル100部門で対戦されることが多い。
 ※また、お互いに特性『かげふみ』のポケモンを場に出した場合、どちらも交代ができず膠着状態となってしまうため、「ソーナンスソーナノの使用禁止」という独自ルールも加えられることが多い。

特徴


 いくつか特徴的な項目があるが、特筆すべきは通常のシングルバトルでは使用することができない「カイオーガグラードンレックウザジラーチ」が使用できるという点であろう(デオキシスは使用することができない)。実際これらのポケモンは非常に性能が高く、このルールにおいても環境の中心的な存在になっている。伝説ポケモンの数の使用制限も特にないため、自由な組み合わせで対戦することができる。

 また、「持ち物の使用不可」「複数催眠あり」という点も目を引くところだろう。第三世代対戦の通常のルールでは、第四世代以降の対戦環境に比べて数値を引き上げられる持ち物が少ないため、『ラムのみ』『カゴのみ』『クラボのみ』といった木の実や『みがわり』などの技を持たせて状態異常への耐性を付けることがしばしばある。このルールではそれらの木の実を使うことができず、プールの関係上『みがわり』『ねごと』を習得できるポケモンの数も少ないため、第三世代対戦では類を見ない「複数催眠あり」というルールも相まって状態異常技の通りが良い環境となっている。しかし、有力な状態異常技を使えるポケモンの数もまたそれほど多くはなく、それらのポケモンは数値が低めであることが多いため、伝説ポケモンに数値負けしてしまいがちなことに注意が必要である。伝説ポケモン側としても、状態異常を回避するために『しんぴのまもり』を採用したり、上から1発で倒したりするなどの対応が必要になる、といった環境になっている。

 そして、「見せ合いなしシングル3vs3」である。見せ合いなしのシングルバトルはあまりメジャーではないと思うが、見せ合いなしのダブルバトルは馴染みのある方も多いのではないだろうか。この「見せ合いなし」という要素が、「持ち物の使用不可」「複数催眠あり」というルールも相まって構築段階での駆け引きを生み出しているのである。見せ合いありルールよりも気軽に対戦できる点も、見せ合いなしルールの特徴の一つだと私は思っている。

 さて、ここでこのルールにおける主要なポケモンを見ていきたいと思う。

個別考察


ラティアスラティオス

 「ポケモンフェスタ2003」の開催日程よりも前に『むげんのチケット』の配布が行われているため、この環境でも高個体値ラティアスラティオスを使用することができる。
 この2体は、優秀な耐性や高い素早さからグラードンカイオーガレックウザといった受けることが難しいポケモンを軒並み上から叩くことができ、豊富な攻撃技(カイオーガ打点の『かみなり』、グラードンレックウザやミラー打点の『れいとうビーム』など)に加え、『めいそう』で決定力を出したり『しんぴのまもり』『リフレクター』『ひかりのかべ』『ねがいごと』『ほえる』等でサポートをこなしたりすることもできる、環境トップレベルのポケモンである。配分は基本的に『おくびょう』最速を確保し、残りは特攻かHPのどちらかに振れば問題ない。『めざめるパワー炎』持ちの場合は最速にはできないが、最低限『おくびょう』最速ジラーチ抜きの素早さ(レベル100で実数値330)は確保したい。

【型サンプル】

☆サポート型ラティアス
特性:ふゆう
性格:おくびょう
実数値:363-*-217-256-297-350
努力値:248-0-4-0-4-252
技:かみなり れいとうビーム リフレクター しんぴのまもり

☆『めいそう』型ラティオス
特性:ふゆう
性格:おくびょう
実数値:301-*-197-358-256-349 ※理想個体値は31-2-31-30-31-30
努力値:0-0-4-252-0-252
技:ドラゴンクロー かみなり めざめるパワー炎 めいそう


ジラーチ

 『ルビー』『サファイア』には出現しないポケモンであるが、「ポケモンフェスタ2003」の開催日程よりも前に配布が行われているため使用することができる。
 ラティアスラティオスと同様にカイオーガレックウザを少し上回る素早さで上から行動でき、鋼の耐性や型の豊富さが優秀なポケモン。一方で、上位ポケモンの中では特にグラードンに見せる隙が大きく、鋼ミラーでも弱めであるため後続でケアする必要がある。『ねがいごと』を持たせると後続のサポートだけではなく単体性能も引き上げられ、まるで『たべのこし』を持っているかのように硬くなる。ただ、2020年現在*1でも高個体値を入手するハードルが高いという点が最大のネックと言えるだろう。

【型サンプル】

☆『ねがいごと』型
特性:てんのめぐみ
性格:おくびょう
実数値:404-*-236-236-237-328
努力値:252-0-0-0-4-252
技:サイコキネシス どくどく ねがいごと まもる


グラードン

 上位の鋼タイプ(ジラーチレジスチルメタグロス)に強い圧力を掛けられるポケモンカイオーガには弱点を付かれてしまうため、(天候を取りつつ)ラティアスラティオスレジアイス等で相手にするよう心掛ける(第三世代の天候特性発動順は、初手に限っては1P,2Pには依存せず素早さ順となる)。メイン技の『じしん』に耐性を持つ相手への打点として、『おんがえし』か『めざめるパワー霊or虫or岩or飛』は持たせておきたい。以下で紹介している型は、晴れ+『ふんか』でHPと特防に振り切った特防補正キノガッサキノココを92.3%で倒すことができ、『りゅうのまいレックウザの起点回避技として『ほえる』を持たせている。

【型サンプル】

☆『ゆうかん』HA型
特性:ひでり
性格:ゆうかん
実数値:403-438-316-237-217-194
努力値:248-252-0-4-4-0
技:じしん おんがえし ふんか ほえる


レジアイス

 高い特殊耐久指数により、ラティアスラティオスカイオーガ等の上位の特殊に対して強いポケモンカイオーガへの遂行+鋼への負担が掛かる技として電気技を持たせたいが、『かみなり』はグラードンと組ませる場合に『ひでり』との相性が悪く(雨下のカイオーガにはレジアイスが対面不利)、カイオーガとは(『じしん』or『でんじほう』+)『だいばくはつ』で最低限1:1交換にはできるため、命中率は低いが『でんじほう』の優先度が高い。鋼タイプを強く呼ぶため、対抗手段として『じしん』を持たせておきたい。

【型サンプル】

☆『なまいき』HA型
特性:クリアボディ
性格:なまいき
実数値:361-199-236-236-484-122
努力値:240-252-0-0-16-0
技:れいとうビーム でんじほう じしん だいばくはつ


カイオーガ

 雨+『しおふき』の決定力が高いポケモン。しかし、その決定力の高さゆえ対策が厚く、最上位のポケモンカイオーガに対する隙が少なく、『かみなり』が飛び交う環境でエースとしては安易に通せない場合が多い点に注意。後発からグラードンや鋼を起点に『めいそう』を積んで決定力を出していきたい。『かみなり』の一貫性が厳しいが、特性『すいすい』持ちと組ませるという手もある。

【型サンプル】

☆『めいそう』型
特性:あめふらし
性格:おくびょう
実数値:341-*-217-399-316-306
努力値:0-0-4-252-0-252
技:なみのり かみなり れいとうビーム めいそう


レックウザ

 ラティアスラティオスと同様に型が豊富なドラゴンタイプのポケモンラティアスラティオスに比べて氷が4倍で素早さがやや低い代わりに、鋼・ヌケニンヘラクロス・特性『すいすい』『ようりょくそ』持ちに強く、『りゅうのまい』を活かしやすいという特徴を持っている。また、レックウザの『れいとうビーム』は『ようき』の特攻無振りでもレックウザを1発で倒すことができる。

【型サンプル】

☆『りゅうのまい』型
特性:エアロック
性格:ようき
実数値:351-398-215-301-215-317 ※理想個体値は30-30-30-30-30-31
努力値:4-252-0-0-0-252
技:めざめるパワー飛 じしん れいとうビーム りゅうのまい


レジスチル

 鋼タイプではジラーチの次に汎用性が高いポケモンジラーチとの鋼ミラーで強く、『でんじほう』による麻痺撒きに加えてこの環境のメタグロスが習得できない『だいばくはつ』を使える点が重要で、ジラーチよりも手軽に入手できる点も含めて価値が高い。他の鋼と同様に、グラードンを強く呼ぶことを意識しておきたい。以下で紹介している型は、ラティアスラティオスグラードンレジアイスヌケニンに通る『どくどく』を持たせているが、ドラゴン+鋼の並びに一貫する強い打点がないため手詰まりになりがち。

【型サンプル】

☆『ゆうかん』HA型
特性:クリアボディ
性格:ゆうかん
実数値:363-273-337-186-337-122
努力値:248-252-4-0-4-0
技:じしん でんじほう どくどく だいばくはつ


キノココ

 ポケモンフェスタ2003ルールで話題のポケモン。このルールにおいて通りが良い『キノコのほうし』を習得できるのはキノココキノガッサのみであるが、キノココは『おだやか』でHPと特防に振り切ると、カイオーガの『れいとうビーム』、ラティオスの『サイコキネシス』、グラードンの『めざめるパワー飛』などの攻撃を耐えることができる。後者2つの攻撃を耐える点がキノガッサに比べてキノココが優位に立てる要素であるが、キノガッサのような決定力としては期待できないため腐りやすい点に注意。

【型サンプル】

☆起点作成型
特性:ほうし
性格:おだやか
実数値:323-*-159-*-238-107
努力値:248-0-12-0-244-4
技:キノコのほうし やどりぎのタネ いばる フラッシュ

参考リンク

*1:執筆当時