2023年3月、第3世代対戦において「みちづれの効果が連続技には発動しない」という仕様が判明した。
※オフ会中に検証した限りでは、「Em/XD・先攻・後攻・連続技の1~n回目で瀕死」を問わず発動しなかった(=発動するケースはなかった)。
この現象が第3世代後期シングル対戦環境に及ぼす影響について、簡単に考察したい。
要約
先に結論を述べると、
- 今まで発見されなかった程度には発生頻度が低い現象であり、大局への影響はインパクトの強さほど大きくはない
- 道連れの評価下降幅よりも、連続技の評価上昇幅の方が大きい
というのが個人的な印象。
道連れ使用側への影響
☆道連れを習得可能な最終進化形
ゲンガー、マタドガス、ムウマ、ソーナンス、ハリーセン(FRLG)、ドーブル、サーナイト、ノクタス(FRLG)、ジュペッタ、サマヨール
第3世代で道連れを習得可能なポケモンは少なく、対戦環境で特に使用率が高いのはゲンガーとソーナンスに絞られる。
(次いで、サーナイト・サマヨール・マタドガス・ジュペッタあたり。道連れ型の使用実績は少ない。)
ここでは、上記の2体についての影響を見ていきたい。
ゲンガー
☆寸評:性能が下がる要素は少しあるが、評価はさほど変わらない
道連れの所持率はそれなりで、道連れ非所持の型も多く存在するポケモン。
主な連続技持ちの内ロックブラストサイドン・ゴローニャに対しては、鬼火や冷凍パンチなどの存在により、性能は従来から大きくは下がらない。
しかし、ロックブラストを道連れできないため、状況によっては余裕がなくなる局面に陥ることは考えられる。
対骨ブーメランガラガラ・乱れ引っかきケッキングは、無効であるため実質的に影響はない。
一方、アーマルドに関しては、眠る所持率が高い+基本的に弱点を付けず(めざ水はピンポイント寄り)、ロックブラストを道連れできないことでより厳しい相性関係に。
もっとも、元来アーマルドは対ゲンガー性能が高いポケモンであり、その性能がより強固になったというだけで、相性関係が変化した訳ではない。
そして、メタグロスや鈍い非所持シャドーボールカビゴンを筆頭としたフルアタ系を連れていく、などの道連れゲンガーとしての役割は従来通り当然こなせる。
以上から、道連れ所持率も加味して、ゲンガーの総合的な評価はさほど変化しないと思われる。
☆寸評:性能自体は少し下がるが、その後の影響は選出制限ルールにも関連する?
道連れをほぼ必ず持っているポケモン。
前提として、連続技はカウンターにも強めであるため、ソーナンスが連続技持ちとかち合うケースは元々それほど多くなかった。
ただ、臆病BS振りという対ガラガラサイドンアーマルド(+連続技持ちではないがバクーダなど)を意識した配分があり、この部分への影響がある。
上記の配分は、最速で地面タイプや岩タイプを抜いておくことで、上から道連れで処理する立ち回りも意図していた。
この動きが成立しにくくなったため、上記の配分のソーナンスが採用されやすかった構築(受け構築など)におけるソーナンスの採用率や配分が変化するかもしれない。
また、「バトンタッチ+ガラガラサイドンのストッパー」としてソーナンスが働きにくくなる。
このため、バトン構築に「ソーナンス対策としてのソーナンス」を採用する意義が従来よりも薄れ、バトン構築が別の方面にリソースを割ける可能性がある。
この他にも、(マイナーポケモンを含む)連続技持ち相手に立ち回りにくくなる状況はゲンガー以上に起こりうるだろう。
もちろん、対カビゴン・メタグロスを筆頭としたソーナンスの従来の役割はやはり変わらずこなせる。
以上から、ソーナンスの性能自体は少し下がる。
ただ、それに伴って仮にソーナンスの採用率が下がるとすると、
「お互いの手持ちにソーナンス・ソーナノがいた場合、両者ともソーナンス・ソーナノを選出することができない」ルールを逆手に取って、
「ソーナンスの選出率が上がり、対戦中にソーナンスが活躍する場面が増える」可能性もある。
※採用率25%・選出率50%の場合、対戦登場率は(1-0.75^2-0.25^2)*0.5=18.75%、ソーナンス使用者目線では0.75*0.5=37.5%
※採用率20%・選出率60%の場合、対戦登場率は(1-0.8^2-0.2^2)*0.6=19.2%、ソーナンス使用者目線では0.8*0.6=48%
ソーナンスの評価は、第3世代特有のルールにも関連しながら変動するのかもしれない。
連続技使用側への影響
☆第3世代の連続技(威力期待値が高い順)
ホネブーメラン(90)、ロックブラスト(60)、ボーンラッシュ(60)、にどげり(60)、とげキャノン(60)、ダブルニードル(50)、トリプルキック(47.07)、れんぞくパンチ(45.9)、つっぱり(45)、みだれひっかき(43.2)、おうふくビンタ(38.25)、たまなげ(38.25)、みだれづき(38.25)、ミサイルばり(35.7)、タネマシンガン(30)、つららばり(30)、ふくろだたき(30?)
第3世代は身代わりへの対抗手段が少ないことから連続技の需要が高いが、有用な連続技と習得ポケモンの数もまた少なく、
対戦環境で見られるのは主にロックブラスト(サイドンアーマルドゴローニャ)・骨ブーメラン(ガラガラ)・乱れ引っかき(ケッキング)くらいである。
これらのポケモンは、対身代わり・対カウンター(カビハピロックナンス等)の要請から、高い確率で連続技を持っている。
他の連続技持ちのマイナーポケモンも含めて、今回の仕様判明は評価が上がる要素になる。
ここでは、上記の5体についての影響を見ていきたい。
ガラガラ サイドン
☆寸評:エースとしての性能が少し上がる
連続技持ちという条件を除いても決定力が高い2体。
特に影響があるのは対ソーナンス。
ソーナンスの項に記載した逆のことで、連続技がカウンター・道連れへの両対応技になり、
「バトンタッチ+ガラガラサイドンのストッパー」としてソーナンスが働きにくくなるため、バトン(麻痺撒きでも良い)エースとしての性能が少し高くなった。
同じく上記の通り、ソーナンスに強め(=ソーナンスの被選出が気にならない)ということは、連続技持ちはソーナンスと組まない方が効率が良いのかもしれない。
☆寸評:対ゲンガーの安定感の向上が嬉しい
対カビゴンとゲンガーの両対応ができるほか、細かい役割を担えるポケモン。
ゲンガーに基本的に弱点を付かれない+大爆発・道連れ両対応になり、より希少な地位を獲得している。
従来のアーマルド入り構築には役割的にソーナンスが同時に入っていることが少ないため、対ソーナンス性能の向上も追い風。
☆寸評:プラス要素が地味ながら嬉しい
頑丈で地割れカビゴンにも対応できるポケモン。
影響についてはガラガラサイドンと似ていて、ゴローニャはエースではなく大爆発で1:1交換を狙う。
ラムのみ(チーゴのみ)を持ちながら鬼火ゲンガーに歯向かいやすくなった点が良い。
サイドンとレジロックの中間のような性質を活かしたい。
ケッキング
☆寸評:上記の4体に比べると利点は少ないか
拘り鉢巻で超火力を出せるポケモン。
対ゲンガーは乱れ引っかきが無効なので影響はないが、ソーナンスには道連れされずに一方的に勝てるかもしれない。
もっとも、ケッキングとソーナンスは相性が良いので(1:1交換要員・ケッキングの隙をケア)、ソーナンスと組ませる選択肢はこれからも消えないだろう。